ショッピングモールのリニューアルとは
ここ数年、ショッピングモールなどでリニューアルという言葉をよく耳にするようになりました。
リニューアルという言葉の意味は、「新しくすること・新しいものに変えること」などを言います。
では、リニューアルで具体的にどんなことをするのでしょうか?
まず、大きな目的は、専門店の入れ替えです。
なぜ、専門店の入れ替えが必要なのか?
それは、ショッピングモールも専門店も人間と同じように年を取るからです。根本的な建物などの構造物も含め、専門店の新鮮さ・真新しさも大きく影響してくるのです。
つまり、飽きられないようにする。
では、ショッピングモールや専門店の鮮度は、どのくらいで新鮮さがなくなるのでしょうか?
答えは、だいたい3ヶ月。
3ヶ月経過すると基本的に飽きられます。
悲しいことですが、これが現実なのです。
だからこそ、リニューアルが重要。
ショッピングモールのリニューアルは、3年後・6年後を考える
実際に今から3年後、6年後の未来はどうなっているでしょう?
この答えは、誰にもわかりません。
例えば、日本でアマゾン(ネット通販)がこれほど普及すると2008年に予測していた人はどのくらいいるでしょう。アメリカのトイザらスが2018年7月で全店閉鎖すると3年前に予言出来た人はいたでしょうか?
このように今から1年後、トレンドや時代の変化がわからない状況の中、ショッピングモールはリニューアル計画を立てているのです。
だからこそ、リニューアルで最も重要なのが知識・経験を持つベテラン社員の存在がいるかどうかです。
近くの大型ショッピングモールを歩いてみてください。
なぜ、こんな場所に出店しているのか?
いつもお客さんがいないお店を見たことはありませんか?
優秀な人材がいるショッピングモールでは、このような光景は見ません。つまり、お客さんを自然と誘導してショッピングが出来るように専門店に出店してもらっているのです。
これが理想的なリニューアル。
しかし、能力のない人・経験が浅い人が実施するリニューアルは、すぐにわかります。
なぜなら、お店がほとんど変わらないから。
確かにお客さんから支持されているお店(例えば、マクドナルドやスターバックス)は変えたくありません。逆に変えてしまうとクレームに繋がってショッピングモールとしての価値を下げてしまう可能性もあるからです。
3年後・6年後の施設の価値。
そこまで落とし込んだ計画を立てること。
これがリニューアルの成功のカギとなります。
専門店はショッピングモールの計画に全て答える必要は無い
ここまでリニューアルについて書きました。
ここからは、専門店側の立ち位置で考えます。
まず、ショッピングモール側から説明されるリニューアルの概要。これは、サクッと聞いておいてください。
なぜなら、あくまで計画だから。
ショッピングモールが立てる計画は、理想に近い状態で話を進めてきます。
確かに計画通りに進めば、非常に魅力的なショッピングモールに生まれ変わるはずですが、基本的に計画は計画のままで終わる。計画と現実の差は、非常に大きいと言っておきましょう。
さらにショッピングモールのリニューアル計画は、100%正しいとは言い切れません。
何度も経験したことです。
リニューアル後、成功体験は数少ない。
なぜなら、ショッピングモールのオープン時に立てた計画が1番正しい気がする。これが実体験なのです。
たとえば、リニューアルのコンセプトに「30代後半から50代前半までの女性向けファッション店舗を強化する」とします。
店舗のメインターゲットは、40代後半です。
既存のショッピングモールが新たな顧客を取り込めるか?
これが意外と難しいのです。
お客さんに刷り込まれたイメージを払拭するのは、7割から8割の店舗を入れ替える必要があります。
200店舗なら
140店舗超を入れ替える。
ショッピングモール側の立場になって考えてみてください。
新しく140店舗超を見つける。
140店舗超と交渉する。
140店舗超と契約書を締結する。
担当者なら通常業務が出来ないくらい激務です。
残業、残業、休日出勤、残業という過酷なスケジュールが6ヶ月以上は続くはずです。
さあ、あなたなら手掛けますか?
おそらく殆どの方がNOでしょう。
ここで理解しておかなければならないのは、専門店側もリニューアルに協力する姿勢は見せるということです。
無意味な改装・移転は受けない。
ただし、価値がある内容は受ける。
これが鉄則です。
あなたのお店が30代女性向けファッション店舗を経営していた場合、移転をお願いされ、移転区画が10代ヤングファッションの隣。
あなたが社長なら受けますか?
おそらく、受けないでしょう。
しかし、移転区画が30代女性向け靴専門店、もしくはエステ店舗の隣りだったら、どうでしょう?
お互いに相乗効果があるなら、決断すべきかもしれません。
リニューアルの提案では、断ることは断る。
ただし、全て客観的に判断すること。
ショッピングモールにも間違えはあります。
しっかりと相手に伝えること。
それは、経営者としての責務です。
もうお分かりいただけたと思いますが、ショッピングモールが掲げるリニューアルのコンセプトや計画にすべて答える必要はありません。
正しいことを数字と事実を交えること。
これがすべて答える必要がないと言った理由です。
リニューアル計画の公表は、7割以上の専門店に打診済である
ショッピングモールのリニューアル計画を発表するときは、すでに出店して欲しい店舗は7割〜8割は決定しています。
あくまで出店して欲しいということ。
なので、出店が決定している訳ではありません。
ショッピングモール側は、出店場所と賃料を提案します。
基本的にはこの時点で交渉がうまく進まないことが多いのです。
ショッピングモールの都合による出店場所とテナント側が希望する出店場所は100%違います。
テナント側が希望する出店場所で契約できているのは1割以下でしょう。
ショッピングモールも家賃収入で稼ぐビジネスモデルです。1等地を格安で貸し出すこともしませんし、1円でも高く家賃を取ろうとするのは常識です。
ショッピングモール・専門店。
それぞれがお互いに納得できるか?
この点を探し合うのが交渉です。
リニューアルの交渉は、時間との戦いです。
通常交渉は、短期間で決断する。
要交渉案件は、時間を使い切る。
ビジネスは駆け引きも重要です。
ただし、一方的な駆け引きはトラブルになる可能性もあります。
1000社あれば、1000通りの交渉がある。
これが成功への近道となるのです。